作成日：2025/10/28
労働時間管理の盲点と是正勧告が急増する背景
労働時間管理の盲点と是正勧告が急増する背景（全国的な傾向を踏まえて）
近年、全国の中小企業を中心に「労働時間の管理」をめぐる是正勧告が急増しています。特に2020年の働き方改革関連法の施行以降、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務など、労働時間に関する規制が一段と厳格化され、企業の対応が追いつかないまま“違反状態”に陥っているケースが多く見られます。背景には、「労働時間」の定義自体が誤って理解されていること、そして“実態とのズレ”を把握できていない管理体制の問題があると言えるでしょう。
まず第一に、労働時間の「定義」そのものが誤認されやすい点が問題です。労働基準法における労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。これは単に「タイムカードを打刻している時間」や「業務指示を受けた時間」だけではなく、たとえば始業前の準備や終業後の片付け、業務に必要なメール確認・日報記入なども含まれ得るのです。しかし、多くの企業では「労働時間＝所定時間」という感覚で運用しており、結果として“隠れ残業”が常態化している例が後を絶ちません。
また、管理職や裁量労働制の対象者についても、「残業代が不要」と誤って理解しているケースが散見されます。実際には、いわゆる「名ばかり管理職」は法的に管理監督者と見なされず、残業代支払いが必要になることもあります。こうした誤認は、監督署の調査で発覚した際に大きな是正指導の対象となりやすいのです。
さらに、勤怠記録と実労働の乖離があることも、是正勧告の原因です。たとえば「所定労働時間通りの記録しか残っていない企業」に対して、労働基準監督署は「本当に残業がないのか？」「記録と実態が乖離していないか？」と疑念を持ち、従業員への個別ヒアリングを通じて裏付けを取りにきます。このプロセスで「口頭ではサービス残業がある」「指示されて残っている」といった事実が出れば、是正勧告の対象となるのです。
2023年度の厚生労働省統計によると、監督指導が実施された事業場のうち約70％で労働時間に関する何らかの違反が見つかっており、特に中小企業では管理体制の整備不足が顕著です。これは「悪意があって違反している」というよりも、「制度やルールを正しく理解しないまま運用している」ことが原因であることが多いのが実情です。
加えて、コロナ禍を経てリモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が広がったことで、「従来の勤怠管理方法では把握しきれない」状況が増加しています。結果として、「申請された労働時間」と「実際の作業時間」にズレが生じ、そのまま是正対象になるケースも少なくありません。
このように、“わかっているつもり”の労働時間管理が、企業にとって重大なリスクとなる時代に突入しています。 社会保険労務士としても、企業からの相談で最も多いテーマのひとつがこの「労働時間の定義と管理の再設計」です。今や、形式的な管理だけでは通用しない時代。自社の実態に合った労働時間のルール設計と運用の見直しこそが、是正勧告を回避し、従業員との信頼関係を築く第一歩となるのです。
労働時間の定義とは何か？社労士が解説する基本知識
管理職・裁量労働制・休憩時間などで誤解されやすいポイント
労働時間管理をめぐる是正勧告が増加する中、企業が特に誤解しやすいポイントとして、「管理職の労働時間」「裁量労働制の適用範囲」「休憩時間の取り扱い」の3つが挙げられます。これらはいずれも“なんとなく”で運用してしまいがちな項目であり、企業の規模にかかわらず多くのトラブルの引き金となっています。
まず、最も多い誤解が「管理職＝残業代不要」という認識です。労働基準法上、残業代支払い義務が免除される「管理監督者」に該当するためには、①経営者と一体的な立場にあること、②出退勤に関する裁量があること、③相応の待遇があること、といった要件を満たす必要があります。役職名が「課長」「マネージャー」であるだけでは、これらの要件を満たすとは言えず、実質的な職務内容が伴っていない場合は“名ばかり管理職”と判断され、残業代の支払いが求められる可能性があるのです。
次に注意すべきは「裁量労働制」の誤用です。裁量労働制は、その名の通り労働時間の決定を労働者の裁量に委ねる制度ですが、すべての業種や職種に適用できるわけではありません。対象となるのは、専門業務型（例：研究職、デザイナー、システムエンジニアなど）または企画業務型に限定されており、その運用には労使協定や就業規則への明記、労基署への届出が必要です。制度の趣旨を理解せず、単に「時間管理が難しい業務だから」といった理由で裁量労働制を適用してしまうと、後に違法判断が下されるリスクがあります。
また、休憩時間の管理も見落とされがちなポイントです。労働基準法では、6時間を超える労働には少なくとも45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を「労働時間の途中に与える」ことが義務づけられています。しかし、「お昼は1時間の休憩時間と定めている」というだけでは不十分です。実際に従業員がその時間に業務をしていた場合は、休憩時間として認められず、全て労働時間としてカウントされることになります。たとえば、昼休みに電話番を任されている、昼食中に上司からの業務指示に応じている、という状況があると、それは「労働」と見なされ、賃金支払いの対象となります。
さらに、リモートワークやフレックス制度の導入に伴い、これらの管理がますます複雑化しています。出退勤の自由があるからといって、すべてを「自己管理」とするのではなく、企業としてはその“実態”を把握し、適切に管理する責任があります。裁量労働制やフレックス制度であっても、一定の時間外労働の制限や健康管理措置は必要であり、労働時間の概念が消えるわけではないことを理解しておく必要があります。
社会保険労務士として感じるのは、「制度は導入したが、正しく運用できていない」企業が非常に多いという現実です。名称や表面的な制度導入に頼るのではなく、“何を目的とした制度か”を理解した上での設計と運用が不可欠です。そのうえで、就業規則や労使協定との整合性、従業員への周知と同意、実態の記録とモニタリングがセットになって初めて、法的にも実務的にも安全な体制が整うのです。
これらのポイントは、労働基準監督署が特に注視する部分でもあります。「うちは問題ないだろう」と思っていても、実態調査で是正勧告を受ける企業が後を絶たない理由は、まさにこの“誤認”にあるのです。だからこそ、労働時間管理においては、細部にこそ注意を払い、制度の正確な理解と運用が求められます。
是正勧告を受けた企業に共通する“見落とし”
タイムカードの扱い、事前申請制、サービス残業の温床
労働時間管理の現場において、「タイムカード」「事前申請制」「サービス残業」の3点は密接に関連しており、適切な管理がなされていない場合、労働基準監督署から是正勧告を受ける大きな要因となります。多くの企業では「勤怠管理はできている」と認識していても、その内実は“記録があるだけ”の状態であり、実態との乖離が生じているケースが後を絶ちません。
まず、「タイムカード」は、労働時間の把握における基本的な手段の一つです。しかし、打刻の有無がそのまま労働の開始・終了時刻を示すと誤解されがちです。例えば、出社時刻に打刻したあと、始業前の業務（掃除、朝礼準備、メールチェックなど）を行っていれば、それも労働時間に含まれます。また、退勤後に業務メールを送信しているログや、チャットツールの履歴がある場合、「実際の労働時間」と「タイムカードに記録された時間」との乖離が指摘され、是正の対象となる可能性があるのです。
このような乖離を助長する仕組みとして「事前申請制」があります。多くの企業では、残業や休日出勤を行う場合、「上司の許可を得て申請すること」をルールとしています。もちろん、管理の観点から事前申請制を導入すること自体は問題ありませんが、問題は「申請がなければ残業時間として認めない」という運用です。たとえ申請がなかったとしても、実際に労働が行われていれば、それは法的には労働時間として扱われ、賃金の支払い義務が生じます。
このような運用の中で、実質的に「サービス残業」が温存される環境が生まれます。たとえば、上司が申請を出しにくい雰囲気を醸し出していたり、「申請しても許可されないから自主的に残業する」といった“空気”が職場に存在している場合、それは明らかに制度設計の不備であり、従業員が“自主的”に見せかけて行っている残業も、会社側が黙認していれば法的責任を問われる可能性があります。
社会保険労務士として企業を支援する中でも、「サービス残業が常態化していたが、労基署の調査をきっかけに是正指導を受けた」という事例は非常に多くあります。その大半が、「制度は整っているつもりだったが、現場の実態とズレていた」というケースです。企業が意図的に不払いをしているわけではなく、“管理の甘さ”や“仕組みの曖昧さ”が原因となっているのです。
この問題を解決するには、「記録」と「実態」の整合性を高めることが不可欠です。具体的には、打刻時間と労働内容の検証、業務日報やPCログの確認、残業申請制度の見直しなど、制度と運用の両面からアプローチする必要があります。また、従業員に対して「労働時間とは何か」「どう申告すべきか」を周知し、相談しやすい職場環境を整えることも欠かせません。
加えて、管理職には「部下の労働時間を正確に把握する責任」があることを教育し、残業の有無や申請状況をチェックする仕組みを導入することが求められます。システムによる自動記録と、人的な確認のダブルチェック体制を整えることが、現代の労務管理には必要不可欠です。
形式だけの勤怠管理では、労働時間の“実態”を把握することはできません。 適切なルール設計と現場に即した運用、そしてその両者をつなぐ社労士のサポートによって、企業は初めて「合法かつ健全な労働環境」を構築することができるのです。
労働時間の誤認が招くリスクと損失
行政指導・未払残業・信用低下と採用への影響
労働時間の管理ミスや不備がもたらすリスクは、単に労働基準監督署からの是正勧告にとどまりません。適切な対応がなされていなければ、企業は未払残業代の支払い義務、行政指導の公表、社会的信用の低下といった連鎖的な損失を被る可能性があり、さらに採用難・離職率上昇といった人材面での悪影響にも直結します。
まず、最初の段階として起きやすいのが「行政指導」です。これは、労働基準監督署が行う是正勧告や指導票の交付を指し、企業の労務管理体制に法令違反があると判断された場合に発せられます。是正内容には、未払残業代の支払い、就業規則の改定、勤怠管理体制の改善などが含まれ、それに従わなければ企業名が公表されるケースもあります。特に悪質な違反や繰り返しの指導に従わない企業は、「ブラック企業リスト（正式名称：労働基準関係法令違反に係る公表事案）」として厚生労働省のHPに社名が掲載される可能性があります。
次に大きな問題となるのが「未払残業代の請求」です。タイムカードやPCのログなどにより、実際の労働時間が明らかになった場合、企業には過去2年分（2020年4月以降は3年分）の残業代を支払う法的義務が生じます。その金額は数百万円から数千万円にのぼることも珍しくなく、中小企業にとっては経営を揺るがす打撃となり得ます。また、退職者が個人で請求してくる場合に加え、弁護士が介入して団体訴訟に発展するケースも増えています。
さらに深刻なのは、こうした労務トラブルが「企業の社会的信用」に大きな影響を及ぼす点です。一度でも労働関係の問題で世間の注目を浴びれば、その情報はインターネット上に半永久的に残ります。最近では、労働問題を扱う口コミサイトやSNSなどで企業の実態が“暴露”されることも多く、それが企業イメージを損ねる原因となっています。
そして、それにより最もダメージを受けるのが「採用活動」です。求職者の多くは、企業の評判や働きやすさを重視しており、「過去に労働トラブルを起こした会社」や「口コミでブラックと書かれている会社」を候補から外す傾向が顕著です。せっかく費用をかけて求人広告を出しても、応募が集まらない、内定辞退が続出する、といった状況に陥れば、企業の成長に必要な人材を確保できず、人手不足が常態化します。
さらに既存社員にも影響は及びます。「労働時間がきちんと管理されない会社」「頑張っても報われない会社」という印象が蔓延すれば、エンゲージメントの低下や離職の連鎖が起こりかねません。これにより、優秀な人材が他社に流出し、結果として組織力が低下するという悪循環に陥ることになります。
社会保険労務士として現場に関わる中でも、「未払残業問題から始まり、採用難→定着率低下→売上減少という負のスパイラルに陥った」という企業は珍しくありません。その多くが、「労働時間管理は形式的にやっていた」「細かい点までは見ていなかった」といった“油断”や“過信”が原因です。
今の時代、労務管理の不備は企業の経営課題に直結します。 労働時間を正しく定義・記録・運用し、未払残業やトラブルの芽を摘んでおくことは、単なる法令順守にとどまらず、「人と組織を守る戦略的マネジメント」なのです。
社労士が支援する“正しい労働時間管理”の仕組み化
勤怠ルール・記録・就業規則の整備が鍵
労働時間の適正な管理を行う上で、企業が押さえるべき3つの柱が「勤怠ルールの明確化」「記録の正確性」「就業規則の整備」です。これらは単体で機能するものではなく、相互に連携することで、初めて効果的な労務管理体制として機能します。そして、この3点を適切に設計・運用できているか否かが、是正勧告を回避し、従業員との信頼関係を築くための分水嶺となります。
まず、「勤怠ルールの明確化」とは、労働時間の始まりと終わり、休憩時間、残業・早出の扱い、遅刻・早退・欠勤などの基準を明確に定義し、それを社員全体に周知することです。「朝のメールチェックは業務か？」「昼休みに電話番を任された場合は？」といった現場レベルの疑問に対し、ルールで線引きしておくことで、管理側・従業員双方の認識のずれを防ぎます。曖昧なルールは、結果として“個人の裁量”に依存する場面を増やし、後のトラブルにつながりやすくなるのです。
次に重要なのが「記録の正確性」です。勤怠システムの導入によって、タイムカードや打刻アプリを活用している企業は多く見られますが、問題は「記録＝実態」になっているかという点です。出退勤時刻が記録されていても、その前後で業務が行われていれば、それも労働時間に含まれます。また、残業が事前申請制である場合、「申請していない＝残業ではない」とする誤った運用がサービス残業の温床になっているケースも少なくありません。管理職による勤怠チェックや、システム上のログ分析などを組み合わせ、実態把握の精度を高めることが求められます。
そして、これらのルールと運用を裏付けるのが「就業規則の整備」です。労働基準法では、常時10人以上の労働者を雇用している事業場に就業規則の作成と届出が義務づけられていますが、それ未満の規模の企業であっても、トラブル防止の観点から明文化されたルールは不可欠です。特に、労働時間、休憩、休日、残業の取り扱い、遅刻・早退・欠勤の扱いなどは、“絶対的記載事項”として記載が求められる重要なポイントです。
また、ルールはあくまで“運用されてこそ”意味があります。就業規則に定めただけで、実際には社内で守られていない、あるいは存在自体が知られていないという状況では、法的な効力も実務上の効果も得られません。そのためには、社内説明会の実施、管理職研修、従業員ハンドブックへの掲載など、ルールの「見える化」と「納得感ある伝達」が欠かせません。
社会保険労務士として感じるのは、企業が制度を整備する際に“形だけ”になっているケースの多さです。法律的に必要だから、トラブルが起きたから、という受動的な理由で制度を設けるのではなく、「自社の働き方に合ったルールとは何か」を考え抜いた上で、仕組みとして組み込み、運用し続けることが重要です。
勤怠ルール・記録・就業規則の3点は、労務管理の“骨格”です。 この3つを自社の実態に即して再設計し、社会保険労務士の助言を得ながら運用レベルに落とし込むことで、はじめて“是正勧告を恐れない”労働時間管理が実現できるのです。
まとめと結論（“知らなかった”では済まされない時代）
かつては、労働時間の管理といえば「とりあえずタイムカードがあればよい」「多少のサービス残業は仕方がない」といった意識が企業の間に広く存在していました。しかし、働き方改革の推進や労働基準監督署による監視強化、SNSや口コミサイトによる情報拡散など、労務管理を取り巻く社会的環境はここ数年で大きく変化しています。今や、勤怠管理の不備は単なる社内の問題ではなく、企業の経営リスクそのものと認識されるようになっています。
特に「労働時間の定義」に対する誤解は根深く、始業前や終業後の“ちょっとした業務”が積み重なって未払残業となり、結果として是正勧告や訴訟に至るケースもあります。さらに、管理職や裁量労働制の取り扱いについても、法律上の要件を満たしていなければ、形式的な制度運用が違法と判断されるリスクも存在します。これらはいずれも、「知らなかった」「他社も同じようにやっている」といった言い訳では通用しない時代に突入していることを示しています。
加えて、タイムカードや打刻システムの導入だけでは、正確な勤怠管理とは言えません。そこには「ルールの設計」「記録の検証」「周知と運用」といった一連のマネジメントサイクルが求められます。どれか一つが欠けるだけで、制度全体が機能不全を起こし、かえってリスクを高める結果にもなりかねません。
そして、見過ごされがちなのが“従業員の目線”です。一方的にルールを押し付けるのではなく、「なぜこのルールがあるのか」「どのように申告すればよいのか」を丁寧に説明し、納得の上で運用していくことが、信頼関係の構築につながります。ルールの不透明さや一貫性のない運用が続けば、従業員の不満や不信感が募り、匿名での通報や労基署への申告につながる可能性も高まります。
社会保険労務士として現場に携わる中で感じるのは、「うちは中小企業だから大丈夫」「今までも問題なかったからこのままでいい」といった“思い込み”が、結果として大きなトラブルを招いている現実です。むしろ、人的リソースが限られ、労務管理の専門人材がいない中小企業こそ、外部の専門家の力を借りながら、最小限の仕組みで最大限のリスク対策を講じる必要があるのです。
今後ますます、労働時間の「可視化」と「説明責任」が企業に求められる時代となります。採用活動や企業ブランディングの観点からも、法令順守は“対外的な信頼の証”として見られるようになっています。
「知らなかった」「うっかりしていた」で済まされる時代は、すでに終わっています。 労働時間管理の再設計は、単なるコンプライアンス対応ではなく、企業の信頼・成長・安定を支える“経営戦略の一環”と捉え、早期に取り組むことが何よりも重要です。そしてその実行には、社会保険労務士という労務のプロフェッショナルを活用することが、最も効果的な第一歩となるでしょう。
社会保険労務士に相談する理由とお問い合わせ情報（全国対応可能）
労働時間管理や就業規則の整備において、企業が「自社だけで完璧な対応を行う」ことは非常に困難です。法改正の頻度が高く、運用実務も複雑化する中で、リスクを最小限に抑えつつ実効性のある制度を構築するには、労務の専門家である社会保険労務士のサポートが不可欠です。特に近年では、監督署による是正勧告、未払残業の請求、採用難や労働環境の透明性要求など、企業の置かれる状況が多面的に厳しさを増しており、「法令を守るだけ」では十分とは言えません。
社会保険労務士は、単なる“法律の番人”ではありません。企業の実態に寄り添いながら、法的なリスク回避と実務のバランスを取りつつ、従業員との信頼関係を損なわない制度設計・運用アドバイスを行う“経営パートナー”でもあります。たとえば、「管理職に残業代は払わなくてよいのか？」「タイムカードがあれば大丈夫？」「就業規則は更新していないが問題ないか？」といった、ちょっとした疑問でも、早期に相談することで重大なトラブルの芽を摘むことができます。
また、社会保険労務士は全国どこでも対応可能です。近年ではオンライン会議ツールの普及により、地域を問わずタイムリーにヒアリング・資料確認・アドバイス提供が可能になっています。「地方だから対応してもらえないのでは？」「顧問契約しないと相談できないのでは？」と不安に思われる方も多いかもしれませんが、多くの社労士事務所では、初回相談やスポット対応も柔軟に受け付けています。中小企業やスタートアップにこそ、気軽に相談できる外部専門家の存在が、組織運営の安定に直結します。
さらに、社会保険労務士は、労働時間や就業規則だけでなく、人事評価制度、働き方改革、ハラスメント対策、健康経営など、労務全般に関わるあらゆる課題に対応可能です。企業の成長ステージに応じた支援ができるのも、社労士ならではの強みと言えるでしょう。
企業経営において、最も大きな資産は“人”です。そして、“人”を守る仕組みこそが、ルールであり制度です。社会保険労務士は、こうした仕組みづくりのプロとして、経営者の右腕となり、企業の持続的成長を支える役割を担っています。
「何を相談したらよいか分からない」という段階でも問題ありません。 気になることがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。全国対応可能な体制で、貴社の現状を丁寧にヒアリングし、最適な対応策をご提案いたします。トラブルが起こる前の“予防法務”こそ、今の時代に求められるリスク対策です。社会保険労務士との連携が、企業の信頼と未来を守る確かな一歩となるでしょう。
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