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作成日:2025/10/06
経営理念を浸透させる就業規則づくりの新常識

なぜ今「理念を反映した就業規則」が注目されているのか(全国の中小企業の動向を踏まえて)

近年、「経営理念を反映した就業規則づくり」が中小企業の間で注目を集めています。かつて就業規則は、「法律で決められているから作るもの」「トラブル時のための防御策」という位置づけで捉えられることが一般的でした。しかし現在では、単なる法令対応を超えて、企業の価値観やビジョンを反映し、社員と共有する“組織の設計図”として活用する流れが広がりつつあります。
その背景には、社会全体の価値観の多様化、働き方改革、副業解禁、Z世代の台頭など、労働環境を取り巻く急激な変化があります。これにより、「社員が同じ方向を向いて働くことの難しさ」が顕在化してきました。従来の“命令と従属”ではなく、“共感と納得”に基づいた組織運営が求められる今、経営理念は単なるスローガンではなく、行動指針としての意味を持たせることが重要になってきているのです。
中でも注目すべきは、理念を単なるポスターや朝礼の口頭確認で終わらせるのではなく、**実際の制度やルールに組み込む**という動きです。たとえば、「社員の成長を支援する」という理念を持つ企業が、その考えをもとに副業容認制度や社内メンター制度を就業規則に反映させることで、社員がその理念を“肌で実感できる”ようになります。こうしたルール整備を通じて、理念と実務がリンクし、組織全体に一体感が生まれるのです。
私はこれまで20年以上、数百社の中小企業と関わってきましたが、理念がルールに落とし込まれている企業ほど、離職率が低く、社員の主体性も高い傾向にあると感じています。就業規則は本来、“企業が社員に何を期待し、どのように評価し、どう守るのか”を言語化するものです。そこに経営理念が反映されていれば、社員一人ひとりの行動も自然と理念に沿ったものになっていきます。
逆に、理念と就業規則の内容が矛盾している場合、社員は「会社の言っていることとやっていることが違う」と不信感を抱きやすくなります。たとえば「社員の多様性を大切にする」と掲げながら、柔軟な働き方や副業を一切認めない就業規則では、理念は“建前”になってしまうのです。
このような時代だからこそ、経営理念と就業規則を一体的に設計することが、企業にとっての“新常識”になりつつあります。本記事では、理念をルールとして定着させる方法や、社会保険労務士がどのようにそのサポートを行っているかについて、具体的な視点で解説していきます。社員との信頼関係を強め、理念を軸にした強い組織を築くためのヒントとして、ぜひお役立てください。

経営理念が反映された就業規則の効果とは

社会保険労務士が見た成功事例とその共通点

「経営理念を反映させた就業規則が社員に浸透し、会社がまとまりを持って成長している」——これは、私がこれまでに関わってきた中で特に印象に残っている企業に共通する成功の形です。就業規則というのは、一見すると単なる“ルールブック”に思えるかもしれません。しかし、経営理念と連動させることで、それは企業文化の中核を担う「行動の指針」に変わります。
たとえば、ある製造業の企業では、「社員の自主性を尊重し、挑戦を応援する」という経営理念を就業規則の中に明文化しました。その理念を踏まえて、「社内提案制度」や「チャレンジ評価制度」などを就業規則に具体的に組み込みました。結果、社員からのアイデア投稿が活発になり、実際に生産性を向上させたプロジェクトも誕生。経営者は「理念が絵に描いた餅ではなく、行動の基準になった」と語っていました。
また、ある福祉業界の法人では、「すべての人に思いやりを」という理念を就業規則に落とし込み、「パワハラ禁止規定」や「利用者・職員とのコミュニケーション指針」を具体化しました。その結果、職員間のトラブルが減少し、利用者満足度も向上。理念と実務が一貫したことで、現場が落ち着き、人の定着率も上がりました。
こうした成功事例に共通しているのは、次の3つのポイントです。
1. 経営理念が明確であること
理念が抽象的ではなく、「何を大切にするか」「どんな行動を評価するか」が言語化されている企業ほど、就業規則との連携がスムーズです。
2. 理念を制度に落とし込む具体的なプロセスがあること
単に理念を前文に書くだけではなく、行動規範や評価基準、福利厚生、研修制度などにまで理念を反映させています。
3. 社員と理念を共有する場が設けられていること
就業規則を変更した後、経営者自らが説明会を開いたり、理念に関する対話の場を設けたりして、社員の理解と共感を得ていることが共通しています。
私自身、社労士としての立場から、就業規則の策定や見直しをお手伝いする中で、「経営理念が現場に根づくかどうかは、就業規則次第だ」と感じています。制度と理念が一致している企業は、社内の空気が違います。社員が自主的に動き、理念を拠り所に判断し、会社への信頼感を持って日々の業務に取り組んでいます。
逆に、制度と理念が乖離している企業では、社員の間に“建前と本音”のギャップが生まれやすく、不信感や離職につながる要因にもなりかねません。だからこそ、社会保険労務士の立場からは、「企業の想いを、言葉と制度に落とし込むこと」が最も重要な支援の一つだと考えています。
理念を浸透させたいと本気で考える企業にとって、就業規則はその最前線にあるツールです。次章では、その理念をどうやって具体的な制度へと反映していくのか、実務的なステップをご紹介します。

理念浸透を阻む就業規則のNGパターン

実務運用でトラブルを招く典型例とその対策

経営理念をいくら立派に掲げていても、それを支える制度やルールに矛盾があると、現場ではさまざまなトラブルが発生します。とくに就業規則の内容が理念と乖離している場合、「制度に納得できない」「理念が建前に見える」といった社員の不満が積もり、離職やモチベーション低下、ひいては労務リスクにまで発展することもあります。
実際に私が相談を受けた事例の中でも、理念と制度のギャップが原因となったトラブルは数多くありました。以下はその代表的な例と、その対策です。
【典型例@】「働きやすさ」を掲げながら、柔軟な勤務制度が整備されていない*
企業理念に「社員のワークライフバランスを大切にします」と明記されていたにもかかわらず、実際には就業規則が画一的な固定勤務制で、時差出勤やテレワーク制度が一切なかった企業がありました。結果として、育児中の社員から制度面での不満が噴出し、優秀な人材の流出につながったのです。
対策:理念と連動した制度設計を行う。
理念に合致した柔軟な勤務制度(フレックス、在宅勤務制度、短時間勤務など)を設け、それを就業規則に明文化することで、社員の共感と実効性を高められます。
【典型例A】「挑戦を応援する」としながら、評価制度が年功序列型
別の企業では、「挑戦と成長を支援する企業へ」という理念を掲げていましたが、実際の評価制度は年功序列に近く、成果やチャレンジ精神が正当に反映されない仕組みになっていました。このミスマッチにより、若手社員が「理念が嘘くさい」と感じ、意欲を失っていきました。
→対策:理念に沿った評価基準を設け、規則に反映する。
挑戦や創意工夫を評価する加点方式の評価項目を明示し、昇給や表彰制度と連動させることで、理念に即した組織風土が実現しやすくなります。
【典型例B】「社員第一主義」を打ち出しているのに、懲戒規定だけが厳しい
理念として「社員を大切にする」「信頼関係を築く」と掲げながら、就業規則の大半が罰則や懲戒処分に関する項目で占められているというケースもあります。社員からすれば「信頼どころか、疑われているようだ」という印象を受けてしまい、逆効果になりかねません。
→対策:懲戒規定のバランスを見直し、理念を補完する条文を追加する。
罰則だけでなく、支援制度・相談窓口・再教育の仕組みなども併せて記載することで、規則の「建設的な意味合い」が社員に伝わりやすくなります。
これらのように、理念と就業規則が矛盾している場合、社員の信頼を失い、組織内に不満が蓄積しやすくなります。だからこそ、社会保険労務士として私が強く推奨しているのは、「就業規則を定期的に見直し、理念との整合性を確認する」ことです。
就業規則は、会社の“顔”であり、社員と約束を交わすための“契約書”でもあります。その内容が企業の理念と一致しているからこそ、職場全体に安心と納得が生まれます。そしてそれが、結果として人材定着・業績向上にもつながっていくのです。

理念ベースのルールがもたらす職場文化の変化

多様な働き方と一体感を両立するために必要な視点

働き方がかつてないほど多様化している現代。リモートワーク、時短勤務、副業・兼業、ジョブ型雇用など、従来の「全員が同じ時間・同じ場所で働く」スタイルは、すでに過去のものとなりつつあります。こうした中、企業にとっての新たな課題は、「多様な働き方を受け入れながら、組織としての一体感をどう維持するか」という点にあります。
多様性を受け入れること自体は、もはや社会的責任でもあり、優秀な人材を確保するための前提条件とも言えます。しかし、多様性が進みすぎて“個別最適”にばかり目を向けてしまうと、チームとしての連携や共通目的の共有が希薄になり、「バラバラな組織」になってしまうリスクがあります。
ここで重要になるのが、「経営理念」と「就業規則」の存在です。これらは、個々の働き方が違っていても、企業としての“軸”や“方向性”を共有するための共通言語となります。たとえば、誰かが在宅勤務で、誰かが現場勤務だったとしても、「この会社は、どういう価値観で事業を行っているのか」「何を大切にしているのか」が明文化されていれば、それが共通の行動指針となり、バラバラにならずに済むのです。
社会保険労務士として私が支援している企業の中には、就業規則の中に「企業理念に基づく行動基準」や「社員として期待する価値観」などを明文化し、すべての従業員に配布している事例があります。こうした仕組みは、社員一人ひとりが「自分の働き方が会社の価値観とどうつながっているか」を認識するきっかけとなり、働き方が違っても“同じ組織の一員”であるという意識を高める効果があります。
また、就業規則には「コミュニケーションのルール」や「報連相の基準」なども設けておくと、働く場所や時間が違う人同士の連携ミスを防ぐことができます。例えば、「週1回のチームミーティングへのオンライン参加を原則とする」などのルールは、柔軟な働き方を維持しつつ、一体感を確保する実践的な手段のひとつです。
一方で、すべてをルールで縛るのではなく、理念を軸にした“判断の自由”を許容することも必要です。つまり、「この状況でどう行動すべきか」を社員が自律的に考えるための“価値観の指針”が、理念であり、それを制度に落とし込むのが就業規則です。
結局のところ、多様な働き方と一体感を両立するために必要なのは、「違いを認め合いながら、共通の目的と価値観でつながる」という意識の醸成です。そして、それを支えるのが、理念と制度の一貫性なのです。
社会保険労務士は、制度設計という側面からこの“共通の軸”を形にする役割を担っています。変化の激しい時代だからこそ、会社の“根っこ”をしっかり整えることが、強い組織づくりの第一歩になるのです。

まとめと結論(理念と就業規則の一致が企業を強くする)

就業規則は、社員と企業の関係を明文化する「ルールブック」であると同時に、組織文化の“かたち”を映し出す鏡でもあります。特に近年では、経営理念と就業規則が一致している企業ほど、社員の定着率やエンゲージメントが高く、強固な組織運営ができている傾向が強まっています。
経営理念は、企業がどのような価値観に基づいて事業を行うのかを示す“指針”です。しかし、その理念が日常の業務や人事制度に反映されていなければ、社員にとっては「単なるスローガン」に過ぎません。反対に、理念を制度に落とし込み、就業規則に明文化することで、社員はその価値観を“自分の行動指針”として受け入れやすくなります。
たとえば、「多様な働き方を尊重する」という理念を掲げながら、柔軟な勤務制度がない企業では、理念と制度が矛盾し、社員の不信感を招くことになります。一方で、理念をもとに副業制度やフレックス勤務制度、挑戦を評価する評価基準などを整備している企業では、社員が自律的に行動し、主体性と一体感を両立させる組織文化が育っています。
また、理念を反映した就業規則には、“経営者の想い”を社員に届ける力があります。労働法的な義務を満たすだけでなく、会社が社員に何を期待し、どのように支援し、どんな未来を共に築こうとしているのか。そのようなメッセージを言葉と制度の両面から伝えることで、社員は「この会社で働く意味」を見出しやすくなります。
もちろん、理念と就業規則を一致させるには手間も時間もかかります。経営理念の再確認、制度との整合性チェック、社員への丁寧な説明、そして定着のための社内風土づくり……。これらは一朝一夕にできることではありません。しかし、それでも取り組む価値があるのは、「理念とルールが一致したとき、組織は本当の意味で強くなる」からです。
社会保険労務士は、こうした“理念を制度に変えるプロセス”を支援する専門家です。法的観点はもちろんのこと、現場に即した実務対応、社員への伝え方、他社事例を踏まえたバランスある提案を通じて、経営者とともに「企業らしい就業規則づくり」に伴走します。
変化の激しい時代だからこそ、企業の“核”となる価値観と、それを支える制度がぶれてはいけません。経営理念と就業規則を一致させることは、単なる形式整備ではなく、組織の強靭さと持続的な成長を支える戦略的な投資なのです。
今こそ、自社の就業規則を「理念の実践ツール」として見直してみませんか? その第一歩が、組織を大きく変える転機になるかもしれません。

社会保険労務士に相談する理由とお問い合わせ情報(全国対応可能)

経営理念を実際の制度に反映させ、組織文化として根づかせるには、理想論だけでなく、実務的な視点と法的整合性のバランスが不可欠です。そこで心強い味方となるのが、社会保険労務士(社労士)という専門家の存在です。
社労士は、労働法に関する国家資格者として、就業規則の作成・改定・運用指導において、企業の内側に深く関与できる唯一の存在です。特に近年では、単に法令に適合した規則を整えるだけでなく、「企業の想いを制度に落とし込む」ことが求められる場面が増えてきました。理念と制度が乖離しないための翻訳者であり、現場に理念を浸透させるための伴走者、それが社会保険労務士の役割です。
私自身も、これまで20年以上にわたり、全国の中小企業の就業規則支援に関わってきました。企業の現場に入り込み、経営者の理念を丁寧に聞き取り、それを就業規則や評価制度、研修制度に具体化する支援を行ってきました。制度設計にあたっては、「法律上の正しさ」と「現場での運用しやすさ」の両立を常に意識し、“実態に即したルールづくり”を徹底しています。
また、就業規則の作成は、単に文面を整える作業ではありません。理念をどう言語化し、どのルールに反映し、どう社員に伝えるのか。こうしたプロセス全体を一貫して支援できるのは、企業と労務の両面を熟知した社会保険労務士ならではの強みです。
私の事務所「高山社労士事務所」では、宮城県仙台市を拠点としながらも、Zoomなどのオンライン相談を活用して全国の企業に対応しております。
「うちの理念、制度とちゃんとつながっているだろうか?」「社員に理念が伝わっていない気がする…」そんな悩みをお持ちの経営者の方は、まずはお気軽にご相談ください。初回ヒアリングでは、現行の就業規則や制度を拝見し、御社ならではの改善のヒントをお伝えいたします。
企業の未来を創るのは、理念に共感し行動できる“人”です。理念が制度として根づく職場づくりを、社労士として全力でお手伝いいたします。